この記事のポイント
最近、物価が継続的に上昇する現象(インフレ)がニュース等で取り上げられる機会が増えています。日本ではバブル崩壊以降、物価が継続的に下落していく現象(デフレ)が続いていましたが、ここ最近はインフレが加速し、人々の生活に大きな影響を与え始めています。
身近なところでは、先日、iPhoneの日本円価格が最大で約19%値上がりし、また、電気代やガス代も前年同月比で2割強上昇しました。また、もし、コロナ禍が明けて海外旅行に行く場合、現地でのかなりの物価高に直面すると予想されます。
こうした環境の変化(デフレからインフレ時代への転換)から、資産運用を検討し始める人も増えています。
本記事では、最近の環境変化とそれにより高まるグローバル投資の必要性について述べていきたいと思います。
インフレが私たちにもたらす影響
2022年になり、食品価格や電気料金などの値上げが相次ぎ、インフレの影響を感じる機会が増えています。日本はインフレに転じたばかりですが、それでもこれだけの影響が出始めています。
もし、仮にインフレが長期的に続いた場合はどうなるのでしょうか?
一例として、老後資金問題を挙げて考えてみたいと思います。
「平均寿命が高くなっている昨今、高齢夫婦無職世帯の平均的な例で見ると、老後の資金として2,000万円が不足している」という趣旨が書かれた報告書が、令和元年に金融庁・金融審議会によって発表されました。これが「老後2,000万円問題」※1です。
ここで触れられている老後の2,000万円ですが、物価上昇は考慮されていません。
そこで、仮に毎年物価が2%ずつ上昇することを加味してこれを再計算してみます。
今仮に45歳の人が20年後の65歳の時に2,000万円必要だとすると、1年に2%の物価上昇を考慮に入れて計算し直すと、計算上は2,000万円ではなく約3,000万円必要である、という結果になります。
※上のグラフで用いている「老後の生活資金2,000万円」については、FOLIOが定めた仮定の数値を用いており、統計等による裏付けのある数値ではありません。計算期間中において物価が継続的に2%上昇すると仮定し、年複利にて計算しています。税金等は考慮していません。
もし給与や年金が今後増えていくという保証があればいいですが、現実的にはそうならない可能性も十分に考えられます。
さらに物価が一年で2%上昇するというのは、日銀(日本銀行)が公式に「2%の物価安定の目標」を掲げています※2ので、現実に起こる可能性があります。
つまり、今後物価は上昇していく、ということも加味して資産形成をする必要性はありそうです。
※1 老後資金問題:金融庁金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」(2019年)における、「夫65歳以上、妻 60歳以上の夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ 20~30 年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で 1,300 万円~2,000 万円になる。この金額はあくまで平均の不足額から導きだしたもの」との記載を元にしています。
※2 2%の「物価安定の目標」:日本銀行「金融政策運営の枠組みのもとでの「物価安定の目標」について」(2013年1月22日)
なぜ今、インフレが起きているのか?
現在インフレが起きているのは、供給不足と円安が主な原因です。
理由1)供給不足によるインフレ
現在の供給不足の原因は主に3つが挙げられます。
一つ目は、世界的に新型コロナウィルスの感染状況が落ち着き始め、それに伴い消費活動が急速に戻りつつある一方、工場や物流の稼働率の回復やサービス業などで従業員の職場復帰が遅れているためです。
二つ目は、脱炭素を目指す機運が世界的に高まり、原油・天然ガス・石炭などに対する投資が手控えられいる一方、それに対応するための代替エネルギーの整備は遅れがちで、需要と供給のバランスが崩れやすい(需要過多)状況になっているためです。
三つ目は、ウクライナ問題を契機に、多くの国が脱ロシアの貿易構造を目指し始めているためです。特に、ヨーロッパは天然ガスの約40%をロシアに依存していたため、脱ロシア依存を進める過程で、エネルギー価格の上昇を引き起こしています。安価な天然ガスを世界に供給していたロシアからの調達をやめようする動きによる影響が出始めています。
理由2)円安によるインフレ
仮に1ドルが100円から130円になった場合、今まで1ドル=100円で輸入していた商品の日本円価格は130円となるので、日本で販売する際の価格は上げざるを得ません。
円安が進行すると輸入品の販売価格が上昇し、それによって物価上昇(インフレ)が引き起こされやすくなります。
(補足)現在、なぜ円安トレンドになっているのか?
円安になっている原因は主に二つが考えられます。
まず一つ目は、貿易収支の悪化です。海外から物を輸入する場合、円を外貨に換えてから代金を支払うのが普通です。よって輸入が多くなると円を売って外貨に換えることが多くなり、円安圧力となります。
過去、日本は、車や電気機器などの輸出が多く、貿易黒字が常態化しており、円高圧力が強い状況でした。
しかし、2010年代以降は、工場の海外移転の進展や、エネルギー・食料品の価格上昇による輸入金額の増加などにより、貿易収支構造が大きく変化しました。特にエネルギー価格が上昇する局面では、貿易赤字となることが多くなってきています。
上のグラフは財務省貿易統計にかかるHPにて公開されているデータを基にFOLIOにて作成したものです。信頼できると考えられる情報を用いて作成しておりますが、情報の正確性、完全性等について保証するものではありません。
二つ目は、日本とアメリカの金利差が拡大しているためです。一般的に投資マネーは、金利が低い方から高い方に流れる傾向があります。米国債と日本債を比較して、米国債の方が金利が高い状況の場合、日本債を売却しドルで米国債を購入する傾向が強くなり、結果として円が売られてドルが買われ、円安ドル高になります。
・上のグラフはBloomberg社が提供するデータを基にFOLIOにて作成したものです。信頼できると考えられる情報を用いて作成しておりますが、情報の正確性、完全性等について保証するものではありません。
インフレは続くのか?
日本では長らくデフレが続いたため、現在のインフレを一過性と考える人もいるかもしれません。ただ、ここ数年で起きた構造変化から、『円安ーインフレ』が続くとの見方が増えてきています。
日本の場合は、「悪いインフレ(物価は上がるが賃金が上がらず生活が厳しくなる)」になる可能性もあり、政府も様々な対策を始めています。「悪いインフレ」をもたらすと警戒されている構図は以下の通りです。
円安とインフレが招く負の連鎖
現在円安基調が強まっていますが、円安が続いていくと輸入物価が上昇していきます。
輸入物価の上昇は、輸入金額を増やし、輸出が増加しなければ、貿易収支悪化に繋がり、そして、貿易収支の悪化が円安圧力を強め、それにより、さらなる輸入物価の上昇を招く、というような「負の連鎖」が起きてしまう可能性があると言われています。
この連鎖を断ち切るには、「円安メリットを生かして輸出を増やす」のが手っ取り早いとも思われますが、ここ数十年で企業が工場の海外移転を進めたため、日本からの輸出が増えにくい構造になっている状況です。
一方、「円安で輸入価格が上がったから輸入量を少なくすればいい」とも考えられますが、生活必需品かつ日本での生産が難しい食料品やエネルギー等について輸入に依存している割合が多く、削減は容易ではない状況です。
為替動向は、貿易収支以外の要因でも変動するため、貿易収支の見通しだけで円安が続くとは言い切れません。
しかし、貿易収支構造が昔とは大きく変わっており、こうした「円安-インフレ」が招く負の連鎖リスクが高まってきていることは、将来の資産形成を行ううえでは、念頭に入れておく必要性はありそうです。
円安とインフレが継続するリスクに備えて
2022年、円安とインフレが、国民生活のリスクになることの一端が見えました。特に、こうした傾向が長期化した場合、私たちの将来の資産形成にさらに大きな影響を与えることが想定されます。
こうしたリスクに対して、政府の今後の対応に期待するところもありますが、個人ベースでも対応する必要があるのではないでしょうか?
その対応策の一つは、円安やインフレが好影響をもたらすことが想定される資産を持つ、ということになると思います。つまり「インフレに耐性のある資産」と「外貨建ての資産」を持つ、ということです。
この二つを手軽に実行できる投資方法のひとつがROBOPROによるグローバル投資です。
ROBOPROは最大8つの資産に米ドル建てで投資をしています。ROBOPROでは、AIを活用し相場を先読み、グローバルの経済成長を上回るパフォーマンスを目指しています。
過去実績は、ROBOPROがリリースされた2020年1月15日から2022年6月30日の期間(約2年5ヶ月)で+約34.56%(※3)のパフォーマンスとなっています。また、積立機能を活用することで、リスクをコントロールしながら、効率的な資産形成を行うことが可能となります。
インフレに弱い資産が「現金」や「日本の銀行預金」です。長期的なインフレリスクを踏まえて、保有資産の一部をグローバル投資に振り向ける必要性を本格的に考える時期にきており、この機会にROBOPROを検討して頂ければと思います。