この記事のポイント
資産運用を始める際に、多くの方が気にされる点の一つが「運用を始めるタイミング」だと思います。
「もう少し株が下がってから始めよう」
「今月よりも来月のほうが始め時かもしれない」
などとスタートのタイミングを見極めようとした結果、なかなか運用を始められない方は少なくありません。そこで本記事では、
ROBOPROで資産運用を始めるベストなタイミングについて、株式会社FOLIO金融戦略部・シニア・アドバイザーの井上輝彦に話を聞いてみました。
井上輝彦(いのうえ・てるひこ)
株式会社FOLIO 金融戦略部 シニア・アドバイザー。1980年代からアナリスト・ファンドマネジャーとして年金資金や投資信託の運用に従事。 2006年から大手資産運用会社にて株式運用部長を務める。 現職では、ROBOPROの運用分析やお客様向けの解説等を担当。
ROBOPROは概ね右肩上がりの運用実績(サービスリリースから2024年1月末まで)
司会:
井上さん、今日はよろしくお願いします。私投資の初心者で、これからROBOPROで資産運用を始めたいと考えているのですが、どういうタイミングで資産運用をスタートしたらいいのでしょうか? たまに経済ニュースを見ていると、マーケットが上がったり下がったりしているので、運用を始めるタイミングがよくわからないんです。
井上:
こちらこそよろしくお願いします。結論からお話しますと、ROBOPROを始めるタイミングについては気にする必要はないと考えています。
司会:
なるほど、始めるタイミングは気にしなくていいんですね。それはなぜでしょう?
井上:
それは、過去のROBOPROの実績を見ると、どの時点で運用を始めても比較的好パフォーマンスが期待でき、運用直後に市況が悪化して元本割れが発生しても、速やかに解消しているからです。
司会:
それは興味深い話ですね。具体的に教えてください。
井上:
以下のグラフを見てください。これは、ROBOPROの運用をスタートさせた時期別の、累積リターンを比較した折れ線グラフです。
当該実績は過去のものであり、将来の運用成果等を示唆又は保証するものではありません。図中で表示している割合は年率ではありません。各数値の差は小数第3位以下を切り捨てて表示しているため、表示上の数値を用いて計算すると数値が一致せず誤差が生じる場合があります。また、信頼できると考えられる情報を用いて算出しておりますが、情報の正確性、完全性等について保証するものではありません。
ROBOPROの運用実績は、運用手数料を年率1.1%(税込)徴収し、投資配分の変更は最適ポートフォリオとの乖離がないように実施したと仮定して計算しています。分配金は投資の拠出金銭に自動的に組み入れ、リバランスにより再投資したと仮定して計算しています。分配金やリバランス時の譲渡益に係る税金は考慮していません。計算は円建てで、算出は資産評価額/当初投資額-1で行なっています。
グラフの運用開始時期別の累積リターンは、サービス開始日(2020年1月15日)またはその後の毎月末営業日に運用を開始し、2024年1月31日まで運用を行ったと仮定して計算した値(月足)を表示しています。
司会:
累積リターンってなんですか?
井上:
累積リターンとは、ある一定期間における収益率をパーセント表記したものです。もう少しわかりやすく説明すると、たとえば10万円でROBOPROの運用をスタートさせて、半年後に3万円のリターンが出ていたとすると、半年間での累積リターンは30%となります。
司会:
なるほど、それならわかります。この折れ線グラフは何を表しているのでしょうか?
井上:
グラフ内の赤い線は、ROBOPROがサービスをリリースした2020年1月15日から運用をスタートした場合、黄色の線は2020年3月末から運用をスタートした場合、そして青い線は2020年8月末から運用をスタートした場合の毎月末ベースの累積リターンの推移で、どれも2024年1月31日までの推移を表しています。
司会:
つまり運用を始めた時期が違う場合の累積リターンの推移と結果を表しているということですね。灰色の線はなんですか?
井上:
灰色の線は46本あるのですが、期間中における上記3つ以外の月末からスタートした場合の累積リターンの推移です。
司会:
なるほど、2020年4月とか2021年2月とかから運用をスタートさせた場合の推移を表しているんですね。一番右の色で囲まれた数値はなんですか?
井上:
それぞれのスタート時期から2024年1月31日まで運用した結果、何%の累積リターンがあったかを表した数値で、2020年1月15日にスタートしたら60.00%、2020年3月末にスタートしたら77.21%、2020年8月末にスタートしたら44.03%の累積リターンがあったことを表します。
司会:
なるほど、そういうことなんですね。
各月末における損益の状況は?
井上:
さて、ここで注目して頂きたいポイントがあります。ROBOPROのパフォーマンスは、上のグラフを眺めただけでも全体を通して右肩上がりの傾向があるというのはお判りいただけると思いますが、もう少しデータを見てみましょう。最初に、運用者にとって最も避けたい購入直後の「元本割れ」について分析してみましょう。
このグラフの折れ線は、いろいろな色で描かれていますが、2020年1月15日に運用をスタートさせたケースから、2020年1月末、2月末、3月末……と毎月末ごとにスタートし、最後に2023年12月末にスタートさせたケースまでを数えると合計49ケースあります。
更に、各ケースのそれぞれ月末時点での累積リターンを算出していますが、その累積リターンの時点の数を合計すると全部で1225個あります。(例えば2020年1月末をスタート月とし、2024年1月末まで運用を行ったケースにおいては、48時点の月末(12時点×4年)を通過することになります。)
このすべての累積リターンのデータのうち、月末時点で累積リターンがプラスとなっていた時点数、またマイナスとなっていた時点数を分析したところ以下のようになりました。
司会:
数字が多くてちょっと難しいですね……。ここから何が言えるのですか?
井上:
この数字を見ると、
1)期間中の各月末で累積リターンがプラスとなっていた時点数は1,158個なので全体の約95%
2)一方元本割れとなっていた時点数は67個なので全体の約5%
3)さらに、これらの元本割れについては運用開始直後に起きており、1年1か月を過ぎると元本割れは解消している
ということです。
司会:
確かに短い期間で見ると下落している時期もありますが、長期的に見ると全体的に右肩上がりの実績になっていますね。
井上:
そうですね。グラフを見てみると、2020年初頭のサービス立ち上げ期、そして2021年9月あたりから2022年にかけて軟調であった株式市場等の影響等を受けて下落している部分があります(緑枠の部分)。その影響でROBOPROも一旦沈みますが、少しずつ回復しているのが見て取れます。
司会:
この時期はどれも累積リターンのグラフは下落していますね。でも時間の経過と共に上がっているのがわかります。
井上:
ここまでのことを要約しますと、以下のように言えますね。
1)サービス開始(2020年1月15日)から2024年1月末は、どの時期にスタートしても概ね右肩上がりの実績であった。
2)期間内において短期的には累積リターンがマイナスの場合もあったが、1年1か月以上ROBOPROで運用した場合、元本割れのケースはなかった。
ROBOPROはAIによる予測に基づいて、毎月投資配分を見直しながら運用していますが、その見直しの成果が上記のグラフに表れています。もちろん、市場環境によっては元本割れする局面がありましたが、そのような場合であっても、投資配分の見直しにより時間の経過と共に回復していった実績を示しています。
よく「いつROBOPROを始めるのがベストか?」などとセミナーでご質問いただくことが多いのですが、上記のような実績を踏まえた上で「ROBOPROを始めるにあたり、タイミングは気にしなくてもよい」とお伝えしています。
司会:
なるほど。こういう理由で、運用をスタートさせる時期はあまり気にする必要はない、ということなんですね。
井上:
はいそうなんです。タイミングのお話はこの位にしまして、次にROBOPROと他の資産運用との比較について見てみましょう。世の中には色々な投資手法がありますが、中でも比較的メジャーなのが「株式投資」です。ROBOPROと株式投資はどう違うのかについてお話しましょう。
※AI予測の好事例のみを示しており、市場動向等によっては上記のような運用ができない場合があります。AI予測および運用実績は将来の運用成果等を示唆又は保証するものではありません。毎月の運用実績は、パフォーマンスレポートをご確認ください。
株式投資との違い
司会:
比較的メジャーな投資手法である株式投資とROBOPROはどう違うんですか?
井上:
まず株式相場というのがどういう値動きをするのか、一例を出してご説明しましょう。
以下のグラフは、先のROBOPROの期間別の累積リターンの期間と同じで、2020年1月15日〜2024年1月末と2020年3月末〜2024年1月末における、日本株式および米国株式に運用した場合の累積リターンの比較です(2020年8月末〜2024年1月末は割愛しています)。
それ以外の灰色の線(折れ線の本数は47本)は、期間中における上記2つ以外の月末からスタートした場合の累積リターンの推移です。
※上のグラフはBloomberg のデータを基に、日本株式はTOPIX(配当込み)、米国株式は「VTI」の値を用いてFOLIOにて作成したものです。信頼できると考えられる情報を用いて作成しておりますが、情報の正確性、完全性等について保証するものではありません。将来の傾向や運用成果等を示唆又は保証するものではありません。グラフの運用開始時期別の累積リターンは、ROBOPRのサービス開始日(2020年1月15日)またはその後の毎月末営業日に運用を開始し、2024年1月31日まで運用を行ったと仮定して計算した値(月足)を表示しています。
司会:
ROBOPROのグラフと似ているような気がしますが、特徴を教えてください。
井上:
一般的に、株式というのは「長期的には上昇する」というイメージをお持ちの方が多くいらっしゃるかと思います。たとえば米国株式は、10年、20年という長期的にみると右肩上がりで上昇しています。
司会:
そうですね、私もそのイメージがあります。
井上:
しかし短期的にはいかがでしょうか。上記のグラフでは、2020年の1月から3月にかけて「コロナショック」が起きており、日米の株式市場は大きく下落しております。このグラフは、ROBOPROのサービス開始日である2020年1月15日から作成しておりますのでたまたまではありますが、1月15日に米国株式で投資を開始していれば、最大24.25%の下落となっております。先にグラフで示したROBOPROの下落幅の9.71%と比較すると下落幅が大きいということがおわかりになると思います。
司会:
確かに、約14%ですから大きな差ですね。
井上:
また、日本株式の2021年3月頃から2023年3月頃に注目してみましょう。この約2年間は、ほぼ横ばいで推移しているのがわかります。米国株式も日本株式ほどの期間ではありませんが、約2年ほど一進一退で動いていました。
司会:
2年も横ばいなんですね!確かにそうですね……。
井上:
もしご自身で日本株式や米国株式での運用をされていて、大きな下落に見舞われたり、あるいは約2年もの間ほぼ横ばいであったとすれば、落ち着いてポートフォリオを見ていられるかというと正直難しいかもしれませんよね。その間に、他の資産、例えば金などが上昇するのを見ていれば尚更ですよね。株式投資のように単一資産に投資する場合、そのパフォーマンスはどうしても株式市場の動向によって左右されるので、投資タイミングを見極めることが重要となってきます。
司会:
確かにそうですね。
井上:
一方のROBOPROでの同じ期間を見ると、緩やかな上昇基調で推移しているのが見て取れます。これは繰り返しになりますが、単一の資産に資金を集中させるのではなく複数の資産を投資対象とし、その時々における投資環境に合わせた適切なポートフォリオへと投資配分の見直しを行なってきたことによりリターンを積み上げてきた結果です。ですから、繰り返しになる部分もありますが、ROBOPROを始めるにあたり大切なポイントは、
- ROBOPROについては、投資を始めるタイミングは気にしなくても良い。
- ROBOPROを始めたら、短期的な動向は気にせずにROBOPROにおまかせ頂く。
この二つが大切であると考えています。
司会:
よくわかりました。ありがとうございました。
ROBOPROのセミナーも開催しています。ROBOPROではAIによる予測技術を利用して最新のポートフォリオを提供しています。また、マーケット状況を踏まえたROBOPROの運用状や投資配分の解説などについて詳しく知りたい方は是非セミナーにもご参加ください。