今回の投資配分変更のポイント
2023年8月の世界の株式市場は、米国の長期金利の上昇や中国の景気が先行き不透明であったこと等が嫌気され下落基調となりました。為替相場は上旬に円高基調で推移する場面もあったものの、米国の長期金利が上昇し日米の金利差拡大が意識される等で下旬にかけて円安に推移する展開となり、2022年11月以来の円安・ドル高となる場面もありました。
そのような投資環境下において実施されたROBOPROの2023年9月(8月29日変更実施)の投資配分を解説します。
新興国株式を減らし米国株式にシフト、金及び米国債の比率は概ね維持
今回の投資配分の変更では、新興国株式の比率を大きく減らし、2023年3月以来約5か月ぶりに米国株式を組み入れました。また、米国債券の比率もわずかに減少させ、結果的に金、米国債券、米国株式、新興国株式の比率順に4つの資産を保有するポートフォリオとなりました。
※上記投資配分について、 2023年4月は3月29日、2023年5月は4月28日、2023年6月は5月30日、2023年7月は6月29日、2023年8月は7月28日、2023年9月は8月29日のそれぞれのリバランス時点の投資配分を示しています。
※円グラフおよび帯グラフの各数値は小数第2位以下を切り捨てて表示しているため、表示上の数値を合算しても100%にならず誤差が生じる場合があります。
市場全体への警戒を維持しつつ、リスク資産を入替え
AIの予測の変化と最適ポートフォリオの更新
今回の投資配分の変更時におけるAI予測(8つの資産の将来のリターンに関する予測)では、引き続き市場全体が下落傾向となることが示唆されました。
なお、8つの資産の比較では、金、米国株式においては相対的に高いリターンが期待され、一方で新興国株式の期待リターンは両資産と比較して相対的に劣後する予測結果となりました。
ポートフォリオの最適化を行う過程で、その予測結果を踏まえた結果、新興国株式の比率を減らし、米国株式への投資を行いました。
ポートフォリオの変更を踏まえてのFOLIOによる考察
引き続き市場全体への警戒感を持ちつつも、過度にリスクオフの姿勢はとらず、上昇局面にも一定程度対応できる余地を残したポートフォリオとなりました。一方で前回からの変化として、新興国株式の一部を米国株式へ、リスク資産の入れ替えを行いました。
新興国株式への投資配分を減らしたことについては、投資対象ETFの組入れの約三分の一を占める中国の景況感悪化の影響が考えられます。なお景況感が悪化した背景としては、不動産不況による業界大手の業績悪化等が相次いで表面化したこと、また8月に発表されたその他の経済指標も軒並み悪化したこと等が考えられます。
一方で米国株式への投資を再開したことについては、今後の米国の金融政策を占う上で注目されていた国際経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)を経て、追加利上げへの過度な警戒が和らいだことなどを受けて、相対的に米国株式の将来見通しが上向いたため等が考えられます。
ROBOPROの投資配分の変更は基本的に月1回行われており(臨時リバランスを除く)、次の投資配分の変更は2023年9月29日の予定です(臨時リバランスが行われ、日程が前倒しされる可能性があります)。
2023年8月の実績は近く公開予定のパフォーマンスレポートでお伝えいたします。