今回の投資配分変更のポイント
2025年4月10日時点において、2025年4月を振り返ると、4月2日(現地時間)にトランプ米政権が市場の想定を遥かに上回る厳しい相互関税の内容を発表したことを受けて、世界的に株式市場が急落しました。その後も中国が報復関税を打ち出す等、世界経済の先行き懸念がさらに高まる中で、株安局面が続いていました。一方、4月9日(現地時間)にトランプ米大統領が自身のSNSで、同日に発動したばかりの相互関税の上乗せ部分について、報復措置をとらない国や地域に対して90日間の一時停止を許可すると発表したことで米国株式市場が急騰して、その動きはアジア市場や欧州市場でも続きました。
為替は、相互関税の内容発表を受けて円買い・ドル売りが広がり、一時144円台まで円高・ドル安が進みましたが、4月9日(現地時間)に米国で相互関税の一部停止が発表されたことで円安・ドル高に転じて、円は一時148円台まで下落しました。
このような投資環境下において実施されたROBOPROの2025年4月 臨時リバランス(4月10日変更実施)の投資配分を解説します。
4月9日の株式市場の急騰等を受けて臨時リバランスを実施
ROBOPROにおける臨時リバランスは、複数のマーケットデータから市場が変動の高い局面に入ったと定量的に判定される場合に実施されます。
4月2日(現地時間)のトランプ米政権による相互関税の内容発表後は、株式市場を中心として世界中の多くの資産が急激に下落していました。ところが、4月9日(現地時間)に相互関税の一部停止が突然発表されたことで、米国株式を中心に急落分の大半を1日で取り戻すような急騰が起こったことなどから、通常とは異なる局面に入ったと判定され、臨時リバランスが発動したものと考えられます。
主に新興国株式と金が減少した一方、先進国株式とハイイールド債券が増加
今回の投資配分の変更では、新興国株式と金が減少したほか、米国株式が微減となり、わずかに保有していた米国債券の配分も減りました。その一方で、先進国株式とハイイールド債券が増加しました。
結果的に、株式資産(米国株式、先進国株式、新興国株式)の保有比率を前回から若干減らしつつも引き続き8割弱として、残りの大半を金とハイイールド債券で占め、米国債券をわずかに保有するポートフォリオとなりました。
ROBOPROで活用されているAIに基づく各資産のリターン予測を確認すると、株式資産の中でも特に先進国株式で相対的に優位な結果が期待できる見通しとなりました。一方で、債券資産(米国債券、ハイイールド債券、新興国債券)や金は相対的に劣後する見通しとなっています。
そしてこれらの予測を踏まえて、金融工学に基づいたポートフォリオの最適化を行った結果、全体としては、金や債券といった相対的にリスクが低いとされる資産(2割強)と株式資産(8割弱)の割合が、前回の投資配分の変更時と比べてもほぼ同水準となりました。その中でも、株式資産では、米国株式の比率を概ね維持しつつ新興国株式から先進国株式へのシフトが、その他の資産では金からハイイールド債券へのシフトが進みました。

※上記投資配分について、2024年12月は11月29日、2025年1月は2024年12月27日、2025年2月は1月29日、2025年3月は3月3日、2025年4月は3月28日のそれぞれの変更時点の比率を示しています。
※円グラフおよび帯グラフの各数値は小数第2位以下を切り捨てて表示しているため、表示上の数値を合算しても100%にならず誤差が生じる場合があります。ただし、2025年4月10日の米国債券については小数第2位まで表示しています。
ポートフォリオの変更を踏まえてのFOLIOによる考察
株式資産合計の比率は概ね維持しつつ、新興国株式から先進国株式にシフト
今回の投資配分の変更における特徴的な動きとして、株式資産の中で新興国株式を減らして先進国株式を増やしたことが挙げられます。
トランプ米政権が4月2日(現地時間)に相互関税の内容を発表した後、世界の株式資産は大きく下落しました。このことから株式資産の過熱感が急激に和らぎ、投資妙味が増したものと考えられます。その中で、AI予測による見通しが前回の投資配分変更時とほぼ同水準であった米国株式については3割程度の組み入れを継続しつつ、特に見通しの改善が顕著だった先進国株式の投資配分を増やし、代わりに新興国株式の比率を減らす結果となりました。
また金については、AIによる見通しが後退したため保有比率は減らしましたが、世界経済の不透明感が高まる中で、一般的に安全資産とされる特性から一定程度の保有は継続したものと考えられます。加えて、債券資産の中では見通しが安定していて、相対的に優位な見通しとなったハイイールド債券を増やすことで、株式中心のポートフォリオのバランスを取っていると考えられます。
結果として、荒れ模様の相場の中で、金とハイイールド債券等を保有することでバランスを取りつつ、前回から内訳を調整しながらも株式資産を引き続き全体の8割弱として、高い積極性を維持する投資配分としています。
ROBOPROの投資配分の変更は基本的に月一回行われていますが、今回は市場の変化に対応した臨時リバランスを実施しました。
次の投資配分の変更は2025年4月30日の予定です(臨時リバランスが行われ、日程が前倒しされる可能性があります)。
2025年3月の運用実績はパフォーマンスレポート(<ROBOPRO 2025年3月実績>)でお伝えしております。
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