今回の投資配分変更のポイント
2023年10月の世界の株式市場は、米国による金融引き締めの長期化の見通しが意識され長期金利が上昇した結果、欧米を中心に下落基調となりました。為替は米国の長期金利上昇を受けて日米の金利差拡大が意識される中で円安・ドル高が加速しました。
そのような投資環境下において実施されたROBOPROの2023年11月(10月27日変更実施)の投資配分を解説します。
リスク資産の比率を全体の半分以上に、ハイイールド債券を新たに組入れ
今回の投資配分の変更では、新興国株式と米国株式どちらも僅かに増やし、リスク資産(株式や不動産)の比率を全体の半分以上としました。金や米国債券を減らし、新たにハイイールド債券を組み入れたことで結果的に、新興国株式、ハイイールド債券、金、米国債券、米国株式の比率順に5つの資産を保有するポートフォリオとなりました。
※上記投資配分について、2023年6月は5月30日、2023年7月は6月29日、2023年8月は7月28日、2023年9月は8月29日、2023年10月は9月29日、2023年11月は10月27日のそれぞれのリバランス時点の投資配分を示しています。
※円グラフおよび帯グラフの各数値は小数第2位以下を切り捨てて表示しているため、表示上の数値を合算しても100%にならず誤差が生じる場合があります。
市場全体への警戒感は維持しつつ、上昇局面への対応を強化
AIの予測の変化と最適ポートフォリオの更新
今回の投資配分の変更時におけるAI予測(8つの資産の将来のリターンに関する予測)では、全体としてはマーケットの見通しがやや改善する方向への変化が見られました。
リスク資産では特に新興国株式において相対的に高いリターンが見込まれました。また景気拡大に伴う金利上昇にも耐性があるとされるハイイールド債券の見通しが相対的に高まった一方で、2023年初来において相対的に高いリターン予測が続いていた金の見通しが弱まりました。
そしてポートフォリオの最適化を行う過程で、その予測を踏まえた結果、新興国株式、米国株式の比率を僅かに増やし、新たにハイイールド債券を組み入れた代わりに、金と米国債券の比率が減少しました。
ポートフォリオの変更を踏まえてのFOLIOによる考察
前回と比較して、リスク資産の比率を全体の半分以上まで増やし、市場の上昇局面への対応力を強化しながらも、市場全体への警戒感も維持しており、攻守のバランスをとったポートフォリオとなりました。その中で前回からの特徴的な変化として、リスク資産を増やしたこととハイイールド債券を新たに組み入れたことが挙げられます。
まず、新興国株式と米国株式というリスク資産の比率を増やしたことについては、欧米の金融引き締めのペースが落ち着くと見込まれている中で、9月以降に大きく下落した株式の反発に一定程度期待しているものと考えられます。
一方で単に楽観視はせず市場への警戒感は維持しており、その要因としては、特に米国において、金融引き締めによる高金利環境が続く中でも、経済が堅調さを保っており、それにより金利水準が更に高まる可能性が残っている点が挙げられます。
ハイイールド債券は景気拡大局面における金利上昇には耐性があるとされているため、そのような局面での下落抑制に期待して組み入れたものと考えられます。また金を減少させた要因として、金価格が中東での有事等により過去最高値付近まで上昇してきたことなどから、割高感が高まってきたと判断したものと考えられます。
ROBOPROの投資配分の変更は基本的に月一回行われており(臨時リバランスを除く)、次の投資配分の変更は2023年11月30日の予定です(臨時リバランスが行われ、日程が前倒しされる可能性があります)。
2023年10月の運用実績は近く公開予定のパフォーマンスレポートでお伝えいたします。