今回の投資配分変更のポイント
2023年11月の世界の株式市場は、米連邦準備理事会(FRB)の追加利上げ観測が後退するなどし、欧米を中心に上昇基調となりました。為替は米国の長期金利が低下し、日米金利差の縮小が意識される中で、円高・ドル安傾向となりました。
そのような投資環境下において実施されたROBOPROの2023年12月(11月30日変更実施)の投資配分を解説します。
リスク資産の比率が減少、再び金と米国債券の比率が上昇
今回の投資配分の変更では、金と米国債券の比率を増やし、リスク資産(株式や不動産)については、米国株式の比率を減らす一方で、新興国株式の比率はほぼ据え置く結果となりました。また、前月に組み入れたハイイールド債券も大幅に減らし、結果的に、新興国株式、金、米国債券の3資産を中心(上記3資産の合計が99.2%)としつつ、わずかながらハイイールド債券や米国株式も保有するポートフォリオとなりました。
※上記投資配分について、2023年7月は6月29日、2023年8月は7月28日、2023年9月は8月29日、2023年10月は9月29日、2023年11月は10月27日、2023年12月は11月30日のそれぞれの変更時点の比率を示しています。
※円グラフおよび帯グラフの各数値は小数第2位以下を切り捨てて表示しているため、表示上の数値を合算しても100%にならず誤差が生じる場合があります。
市場全体への警戒感をやや高める、米国金利低下を意識した対応
AIの予測の変化と最適ポートフォリオの更新
今回の投資配分の変更時におけるAI予測(8つの資産の将来のリターンに関する予測)では、全体としてはマーケットへの警戒感をやや高める方向への変化が見られました。
比較的安全な資産として、金の見通しが相対的に高まりました。リスク資産では特に新興国株式において相対的に高いリターンが見込まれた一方で、米国株式等の見通しが弱まりました。
そしてポートフォリオの最適化を行う過程で、その予測を踏まえた結果、金と米国債券の比率が大幅に増加しました。またハイイールド債券や米国株式の比率は減少したものの、回転率制約等からわずかながら残る形となりました。
ポートフォリオの変更を踏まえてのFOLIOによる考察
前回と比較して、リスク資産の比率を減らし、市場全体への警戒感をやや高めながらも、過度にリスクオフの姿勢はとらず、上昇局面にも一定程度対応できる余地を残したポートフォリオとなりました。その中で前回からの特徴的な変化として、金の比率を増やしたこととハイイールド債券と米国株式の比率を減らしたことが挙げられます。
この背景には、米国の物価上昇の鈍化や米国経済のピークアウトが意識され始める中で、市場で早期の利下げ観測が広がり、米国長期金利が低下傾向を示していることがあると考えられます。
「安全資産」とされる金は米ドルの代替資産とされており、米国の景気減速への懸念が高まり、米国の金利が低下していく中では相対的に投資妙味が高まる傾向があるため、金価格の再上昇に期待しているものと考えられます。
一方で、ハイイールド債券と米国株式については米国の景況感に連動する傾向があり、米国の景気減速への懸念が高まっていることから、見通しを引き下げたものと考えられます。
なお新興国株式については比率を概ね維持しています。欧米株式と比較して相対的に割安感があるため、リスクオフ局面への耐性に期待しつつ、米国の金利水準が低下して米ドル高が一服すると、新興国の外部環境が改善し資金流入が強まる傾向があるため、新興国株式の上昇に期待しているものと考えられます。
ROBOPROの投資配分の変更は基本的に月一回行われており(臨時リバランスを除く)、次の投資配分の変更は2023年12月29日の予定です(臨時リバランスが行われ、日程が前倒しされる可能性があります)。
2023年11月の運用実績は近く公開予定のパフォーマンスレポートでお伝えいたします。