今回の投資配分変更のポイント
2023年12月の世界の株式市場は、米国のインフレ鈍化およびFRB(米連邦準備制度理事会)による利上げ終了観測などから、欧米を中心に上昇基調となりました。為替は、FRBによる利上げ終了およびその先の早期利下げを織り込む形で米国債利回りが低下、また日銀による金融政策変更等が意識され、円高・ドル安傾向となりました。
そのような投資環境下において実施されたROBOPROの2024年1月(2023年12月29日変更実施)の投資配分を解説します。
新興国株式と金が減少、米国債券は増加
今回の投資配分の変更では、新興国株式、米国債券、金の3資産を中心に据える構成は不変のまま、新興国株式と金の比率を減らし、米国債券の比率を増やしました。結果的に、新興国株式、米国債券、金の比率順に保有するポートフォリオとなりました。

※上記投資配分について、2023年8月は7月28日、2023年9月は8月29日、2023年10月は9月29日、2023年11月は10月27日、2023年12月は11月30日、2024年1月は2023年12月29日のそれぞれの変更時点の比率を示しています。
※円グラフおよび帯グラフの各数値は小数第2位以下を切り捨てて表示しているため、表示上の数値を合算しても100%にならず誤差が生じる場合があります。
株式比率を減らし、米国債券の比率を増やしたより守りの投資配分へ
AIの予測の変化と最適ポートフォリオの更新
今回の投資配分の変更時におけるAI予測(8つの資産の将来のリターンに関する予測)では、全体としてはマーケットへの警戒感を前月よりやや高める方向への変化が見られました。
比較的安全な資産として、金の見通しが相対的に高まりました。一方でそれ以外の資産については総じて見通しが弱まりました。
そしてポートフォリオの最適化を行う過程で、その予測を踏まえた結果、米国債券の比率が増加した一方で、新興国株式と金の比率が減少しました。なお、金の比率が減少した要因の一つとして、金の見通し自体はポジティブだったものの、相関の高いハイイールド債券や新興国債券のAI予測が前月比で相対的に大きく下落したことの影響が考えられます。
ポートフォリオの変更を踏まえてのFOLIOによる考察
前回と比較して、株式の比率を下げ、市場全体への警戒感をやや高めながらも、過度にリスクオフの姿勢はとらず、上昇局面にも一定程度対応できる余地を残したポートフォリオとなりました。その中で前回からの特徴的な変化として、米国債券の比率を増やしたことが挙げられます。
この背景には、米国の物価上昇の鈍化や米国経済のピークアウトが意識される中で、FRBも2024年に3回の利下げ見通し(中央値)を示していることがあると考えられます。その影響で米国長期金利が低下(債券価格は上昇)傾向となっており、一般に債券の投資妙味が高まりやすい局面であると言えます。
また、市場では金利のピークアウトを受けて株式市場のさらなる上昇を期待する向きもある一方で、米国景気が想定以上に減速して、既に直近大きく上昇している株式等が反落するようなリスクオフ局面となる懸念もくすぶっています。米国債券は比較的安全な資産として、そのような下落局面に比較的耐性があることも米国債券の比率を増やした一因と考えられます。
なお、ROBOPROでは、日頃から各資産の値動きを分析するAIモデルにより、臨時リバランスの必要性の判定を行っています。
12月には米国金利が急激に低下するなかで、臨時リバランスを実施する確率がやや高まった局面もありましたが、結果として臨時リバランスは発動しませんでした。
ROBOPROの投資配分の変更は基本的に月一回行われており(臨時リバランスを除く)、次の投資配分の変更は2024年1月29日の予定です(臨時リバランスが行われ、日程が前倒しされる可能性があります)。
2023年12月の運用実績は近く公開予定のパフォーマンスレポートでお伝えいたします。