今回の投資配分変更のポイント
2024年1月の世界の株式市場は、FRB(米連邦準備制度理事会)の早期利下げ観測が後退して軟調となる局面もありましたが、下旬に入ると、米国経済の軟着陸や企業決算への期待が高まる中、欧米を中心に上昇基調となりました。為替は、米国で長期金利が上昇した一方、日銀による早期のマイナス金利政策解除への期待がやや後退したため日米金利差が拡大して、円安・ドル高傾向となりました。
そのような投資環境下において実施されたROBOPROの2024年2月(1月29日変更実施)の投資配分を解説します。
新興国株式と米国債券がわずかに増加、金は減少
今回の投資配分の変更では、新興国株式、米国債券、金の3資産の構成は不変のまま、新興国株式と米国債券の比率を増やし、金の比率を減らしました。結果的に、新興国株式、米国債券、金の比率順に保有するポートフォリオとなりました。

金の比率を減らすも、株式比率はわずかな増加に留まる
AIの予測の変化と最適ポートフォリオの更新
今回の投資配分の変更時におけるAI予測(8つの資産の将来のリターンに関する予測)では、全体としてはマーケットの見通しがやや改善する方向への変化が見られました。
前月と比較して、比較的安全な資産では金の見通しが、比較的リスクが高い資産では不動産や新興国株式の見通しが相対的に高まりました。またその他の資産も概ね改善傾向となりました。
そしてポートフォリオの最適化を行う過程で、その予測を踏まえた結果、金の比率が減少した一方で、新興国株式と米国債券の比率がわずかに増加しました。
なお、見通しがポジティブだったのにもかかわらず、不動産が組み入れられなかった要因として、比較的相関の高い米国株式やハイイールド債券のAI予測がネガティブであったことや相対的に高いリスクが見込まれることなどの影響が挙げられます。
ポートフォリオの変更を踏まえてのFOLIOによる考察
前回と比較して、マーケットへの見通しはやや改善されたものの、株式の比率はわずかな増加に留まり、市場全体への警戒感は維持したポートフォリオとなりました。前回から投資配分を大きくは変更してはいませんが、その中でも特徴的な変化として、金の比率を減らしたことが挙げられます。
この背景には、米国において早期の利下げ観測が後退して、年初から長期金利が大きく上昇したことがあると考えられます。
金は金利のつかない資産であるため、例えば米国債の利回りが高くなる際には相対的に魅力が低下する傾向があるなど、米国金利の動きに影響を受けることがあります。そのため金融政策の見通しに応じて米国の金利水準が大幅に変動する市場環境となっていることで、金のリスクも相対的に高くなることが見込まれます。
AIによる金の見通しは比較的高かったものの、同じく見通しが高まった新興国株式や、同じく「安全資産」とされる資産の中でもより低いリスクが見込まれた米国債券と比べると、投資妙味が低位にとどまったと考察します。
なお、今回の投資配分には大きな変化はなかったものの、2024年に入り不動産に関するAI予測が改善するなど、見通しやその背景となる分析には変化が見られます。今後も市場動向の変化に応じて投資配分を変更することで、パフォーマンスの最大化を目指します。
ROBOPROの投資配分の変更は基本的に月一回行われており(臨時リバランスを除く)、次の投資配分の変更は2024年3月1日の予定です(臨時リバランスが行われ、日程が前倒しされる可能性があります)。
2024年1月の運用実績は近く公開予定のパフォーマンスレポートでお伝えいたします。