今回の投資配分変更のポイント
2024年2月の世界の株式市場は、米国ハイテク企業の好決算等が好感され上昇基調となり、日米の株価指数が史上最高値を付ける場面もありました。また中国では、政府が相次いで打ち出した相場支援策が奏功して、上昇基調となりました。為替は、米国の雇用統計が強い結果となったこと等で、早期の利下げ観測が後退し米長期金利が上昇したことや、日銀による金融緩和の長期化観測などから円安・ドル高傾向となりました。
そのような投資環境下において実施されたROBOPROの2024年3月(3月1日変更実施)の投資配分を解説します。
新興国株式が大幅減、米国債券と金は増加、ハイイールド債券を新たに組み入れ
今回の投資配分の変更では、新興国株式の比率が大幅に減った一方で、米国債券と金の比率が増え、さらにハイイールド債券が新たに組み入れられました。結果的に、米国債券、金、新興国株式、ハイイールド債券の比率順に保有するポートフォリオとなりました。
※上記投資配分について、2023年10月は9月29日、2023年11月は10月27日、2023年12月は11月30日、2024年1月は2023年12月29日、2024年2月は1月29日、2024年3月は3月1日のそれぞれの変更時点の比率を示しています。
※円グラフおよび帯グラフの各数値は小数第2位以下を切り捨てて表示しているため、表示上の数値を合算しても100%にならず誤差が生じる場合があります。
株式比率を大きく減らし、マーケットへの警戒感を大幅に高める
AIの予測の変化と最適ポートフォリオの更新
今回の投資配分の変更時におけるAI予測(8つの資産の将来のリターンに関する予測)では、全体としてはマーケットの見通しが悪化する方向への変化が見られました。
前月と比較して、比較的リスクが高い資産である不動産や新興国株式の見通しが相対的に大きく悪化しました。また、その他の資産でも大半が悪化方向に変化しました。一方で、ハイイールド債券や米国債券などの見通しは相対的に改善しました。
そしてその予測を踏まえてポートフォリオの最適化を行った結果、新興国株式の比率を大幅に減らした代わりに、米国債券と金の比率を増加させ、さらにハイイールド債券を新たに組み入れました。
ポートフォリオの変更を踏まえてのFOLIOによる考察
前回と比較すると、マーケットへの見通しが悪化したことを受けて、全体に占める株式の比率を大きく減らし、市場全体への警戒感を大幅に高めたポートフォリオになりました。その中でも特徴的な変化として、新興国株式の比率を大きく減らしたことと、ハイイールド債券を新たに組み入れたことが挙げられます。
まず新興国株式を減らした要因については、パフォーマンスへの寄与が大きい中国において、2月に政府が相場支援策を相次いで打ち出し、株式市場が大きく反発したことの影響が考えられます。依然として米国株式や先進国株式と比べて割安ではあるものの、その妥当性や持続性を確認するために、投資比率を下げることで様子見の姿勢に転換したものと考えられます。
またハイイールド債券を新たに組み入れた要因については、米国で強い経済指標が相次ぎ、FRB(米連邦準備制度理事会)による早期の利下げ観測が後退して、長期金利が上昇したことの影響が考えられます。一般に債券は金利上昇時に価格が下落する傾向がありますが、ハイイールド債券は、景気拡大局面における金利上昇には耐性があるとされています。米国債券や金が多いポートフォリオにおいて、株式ほどの高いリスクはとらずに、高利回りと米国景気拡大の恩恵も受けられることに期待して組み入れたものと考えられます。
ROBOPROの投資配分の変更は基本的に月一回行われており(臨時リバランスを除く)、次の投資配分の変更は2024年4月1日の予定です(臨時リバランスが行われ、日程が前倒しされる可能性があります)。
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