今回の投資配分変更のポイント
2024年3月の世界の株式市場を振り返ると、米国ハイテク企業の業績への期待の高まりや、欧米の中央銀行の金融政策が利下げに向かうとの観測が好感されたことなどで、欧米を中心に上昇基調となり、欧米等の株価指数が繰り返し最高値を更新する展開となりました。
為替は、上旬から中旬にかけて日銀によるマイナス金利の解除観測から円高になる場面がありましたが、月末にかけて米国長期金利が上昇したことなどで再び円安・ドル高傾向となりました。
そのような投資環境下において実施されたROBOPROの2024年4月(4月1日変更実施)の投資配分を解説します。
新興国株式、ハイイールド債券、米国債券が減少、金は増加、不動産が新たに組み入れられる
今回の投資配分の変更では、新興国株式、ハイイールド債券、米国債券の比率が大幅に減った一方で、金の比率が増え、さらに不動産が新たに組み入れられました。結果的に、米国債券、金、不動産、新興国株式、ハイイールド債券の比率順に5資産を保有するポートフォリオとなりました。
※上記投資配分について、2023年11月は10月27日、2023年12月は11月30日、2024年1月は2023年12月29日、2024年2月は1月29日、2024年3月は3月1日、2024年4月は4月1日のそれぞれの変更時点の比率を示しています。
※円グラフおよび帯グラフの各数値は小数第2位以下を切り捨てて表示しているため、表示上の数値を合算しても100%にならず誤差が生じる場合があります。
マーケットへの警戒感は維持しつつ、不動産を約2割組み入れ、米国金利低下を意識した投資配分に
AIの予測の変化と最適ポートフォリオの更新
今回の投資配分の変更時におけるAI予測(8つの資産の将来のリターンに関する予測)では、全体としてはマーケットの見通しが後退する方向への変化が見られました。
前月と比較して、比較的リスクが高い資産である新興国株式の見通しが相対的に大きく悪化しました。一方で、金や米国債券などの見通しは相対的に改善しました。
そしてその予測を踏まえてポートフォリオの最適化を行った結果、一般に安全資産とされることが多い米国債券と金を合わせて全体の7割弱保有しつつ、新興国株式とハイイールド債券を減らしました。
また、年初から不動産に関するAI予測が改善方向に安定的に推移してきていたことも評価して、新たに不動産を2割程度組み入れました。なお、不動産の組み入れは、2022年10月以来、約1年半ぶりとなります。
ポートフォリオの変更を踏まえてのFOLIOによる考察
前回に引き続き米国債券と金が全体の大半を占めており、市場全体への警戒感を高めたポートフォリオではあるものの、その構成には変化がありました。その中でも特徴的な変化として、不動産を新たに組み入れたことが挙げられます。
不動産を新たに組み入れた大局的な要因として、頻度やタイミングについては議論があるものの、FRB(米連邦準備制度理事会)は年内の利下げ開始に向けて市場と対話を続けており、米国において金利低下期待が持続していることが挙げられます。金利低下により不動産投資に伴う金利負担が軽減することで、収益性の改善が見込まれるため、価格上昇を期待することができます。
また、金利低下は不動産だけではなく、米国株式など株式資産にも追い風になり得ますが、米国株式は年内の利下げ開始も織り込み、既に年初から大きく上昇しています。一方で不動産は軟調な動きに留まっているため、株式と比較して割安感があることも、新たに不動産を組み入れた要因として考えられます。
なお、ポートフォリオの大半を占める米国債券や金についても、一般に安全資産とされる一方で、米国の金利が低下すると恩恵を受けやすい資産であり、今回のポートフォリオは全体として市場への警戒感を保ちつつ、米国の金利低下を意識した投資配分となっていると考えることができます。
ROBOPROの投資配分の変更は基本的に月一回行われており(臨時リバランスを除く)、次の投資配分の変更は2024年4月30日の予定です(臨時リバランスが行われ、日程が前倒しされる可能性があります)。
2024年3月の運用実績は近く公開予定のパフォーマンスレポートでお伝えいたします。
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