今回の投資配分変更のポイント
2024年4月の世界の株式市場を振り返ると、下旬には米国のハイテク企業の好業績が好感されたことや長期金利の上昇が一服したこと等から反発する場面もありましたが、月間を通じてみると、インフレ持続懸念等による米国の利下げ観測の後退に加えて、中東情勢の悪化懸念等が重なり軟調に推移しました。
為替は、米国長期金利が上昇したことで日米金利差拡大を意識した円売り・ドル買いが続きました。また下旬には日銀が政策維持を決定し、当面追加の利上げがないとの観測が広がったことで円が売られ、一時1ドル=160円と約34年ぶりの水準となる場面もありました。
そのような投資環境下において実施されたROBOPROの2024年5月(4月30日変更実施)の投資配分を解説します。
米国債券が大幅に減少、不動産は大きく増加、米国株式が新たに組み入れられる
今回の投資配分の変更では、米国債券、新興国株式、ハイイールド債券の比率が減った一方で、不動産と金の比率が増え、さらに米国株式が新たに組み入れられました。結果的に、不動産、金、米国債券、米国株式、新興国株式、ハイイールド債券の比率順に6資産を保有するポートフォリオとなりました。
※上記投資配分について、2023年12月は11月30日、2024年1月は2023年12月29日、2024年2月は1月29日、2024年3月は3月1日、2024年4月は4月1日、2024年5月は4月30日のそれぞれの変更時点の比率を示しています。
※円グラフおよび帯グラフの各数値は小数第2位以下を切り捨てて表示しているため、表示上の数値を合算しても100%にならず誤差が生じる場合があります。
不動産を4割弱まで増加、米国株式を新規に組み入れ、攻めと守りのバランスをとった投資配分に
AIの予測の変化と最適ポートフォリオの更新
今回の投資配分の変更時におけるAI予測(8つの資産の将来のリターンに関する予測)では、全体としてはマーケットの見通しが改善する方向への変化が見られました。
前月と比較して、比較的リスクが高い資産である不動産や米国株式等の見通しが相対的に大きく改善しました。一方で、新興国株式の見通しが大幅に後退したほか、米国債券等の見通しも相対的に後退しました。
そしてその予測を踏まえてポートフォリオの最適化を行った結果、一般に安全資産とされることが多い米国債券と金、比較的リスクが高い資産である不動産、米国株式、新興国株式をそれぞれ合わせて全体の約5割ずつ保有する投資配分としました。
ポートフォリオの変更を踏まえてのFOLIOによる考察
前回と比較して、米国債券と金を合わせて約5割に減らした一方で、不動産や株式も合わせて5割弱まで増やすことで、攻めと守りのバランスをとった投資配分としました。その中でも特徴的な変化として、不動産を2割強から4割弱まで増やしたことと米国株式を新たに組み入れたことが挙げられます。
この背景には、米国でのインフレ持続懸念等に伴い、利下げ期待が後退したことなどで、不動産と米国株式がともに下落したことがあります。
確かに、高金利環境は不動産や米国株式に逆風となりえますが、金利が高止まりしているのは米国経済が好調さを保っているからであり、実際に米国株式を牽引するハイテク企業は相次いで好業績を発表しています。
このように好況が続いているにも関わらず、米国株式や不動産においては、直近相場が下落する展開となりました。特に不動産は年初から下落を続けており、株式と比較して割安感が相対的に強まったことから、全体の4割弱という比較的高い投資配分としたものと考えられます。
一方で、米金融政策だけでなく、中東情勢の動向等にも注意する必要があるため、不動産や株式といった比較的リスクが高い資産だけではなく、金や米国債券といった一般に安全資産とされる資産も相応に保有しています。
結果として、市場全体への警戒感は維持しつつも、市場の反発に期待をする攻めと守りのバランスをとった投資配分になっていると考えることができます。
ROBOPROの投資配分の変更は基本的に月一回行われており(臨時リバランスを除く)、次の投資配分の変更は2024年5月29日の予定です(臨時リバランスが行われ、日程が前倒しされる可能性があります)。
2024年4月の運用実績は近く公開予定のパフォーマンスレポートでお伝えいたします。
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