今回の投資配分変更のポイント
2024年7月の世界の株式市場を振り返ると、上旬はFRB(米連邦準備制度理事会)による利下げ期待の継続やハイテク企業の好業績見通しに後押しされ、各国の株式指数は堅調に推移しました。しかし、中旬に米政府による半導体貿易の規制強化報道や相次ぐ米大手IT企業の低調な決算発表を受けて、過熱感のあった業種・企業から資金の逆回転が始まり、下旬にかけて日米欧の株式市場はいずれも軟調に推移しました。
為替は、日米金利差の縮小を想像させる経済指標の発表や、それにタイミングを合わせる形で日本の通貨当局によるドル売り・円買い介入とみられる動きがあったことも相まって、7月10日を転機として円高が急速に進みました。
このような投資環境下において実施されたROBOPROの2024年8月(7月29日変更実施)の投資配分を解説します。
米国株式とハイイールド債券が新たに組み入れられる
今回の投資配分の変更では、不動産と米国債券の比率が減少した一方で金の比率が小幅に増加し、新たに米国株式とハイイールド債券が組み入れられました。結果的に、不動産、金、米国債券、米国株式、ハイイールド債券の比率順に5資産を保有するポートフォリオとなりました。
※上記投資配分について、2024年3月は3月1日、2024年4月は4月1日、2024年5月は4月30日、2024年6月は5月29日、2024年7月は6月28日、2024年8月は7月29日のそれぞれの変更時点の比率を示しています。
※円グラフおよび帯グラフの各数値は小数第2位以下を切り捨てて表示しているため、表示上の数値を合算しても100%にならず誤差が生じる場合があります。
保有資産の内訳を変更しつつも、攻守のバランスは維持
AIの予測の変化と最適ポートフォリオの更新
今回の投資配分の変更時におけるAI予測(8つの資産の将来のリターンに関する予測)では、全体としてはマーケットの見通しが改善する方向への変化が見られました。
前月と比較して、株式や債券の一部(米国株式、新興国株式、ハイイールド債券)のほか、金の見通しが改善しました。一方で、不動産や米国債券などについては見通しが後退し、他資産との比較でも劣後しました。
そしてその予測を踏まえてポートフォリオの最適化を行った結果、比較的リスクが高い資産である不動産の一部を米国株式に振り分け、両資産で5割弱としつつ、金や債券を5割強保有しており、前月からの攻守のバランスは維持する投資配分としました。
ポートフォリオの変更を踏まえてのFOLIOによる考察
今回の投資配分の変更においては、不動産と米国株式を全体の5割弱、米国債券およびハイイールド債券と金を合わせて5割強保有しており、保有資産の内訳を変更しつつ、攻めと守りのバランスは維持しました。
7月は米国で早期利下げの織り込みが進み、短期金利の低下基調が続きました。一般的に、短期金利の低下は株式市場への追い風となりますが、実際には7月中旬から下旬にかけて米国株式は下落し、結果的に割高感が一部解消される形となりました。一方でその間に前月から保有していた不動産は上昇しました。
ROBOPROはそのような値動きの違いを踏まえ、不動産を一部売却し、その資金の大半を米国株式にシフトしたと考えられます。
またマーケットデータを通じ、米大統領選に関する報道などを踏まえて市場の不確実性が高まっていることを捉え、一般に安全資産とされる金や米国債券の保有は比較的高位を維持したと考えられます。
これらの結果、ポートフォリオ全体として、市場全体への警戒感を維持しつつも、足もとの価格変動を反映して、主に割高となった資産から割安な資産へと入れ替える形で、攻めと守りのバランスを維持した投資配分としました。
なお、投資配分を不動産から米国株式、米国債券からハイイールド債に一部組み替えたことからも、攻守のバランスは概ね維持しつつAI予測によるマーケット見通しの改善を反映し、ポートフォリオ全体のリスク水準としては僅かに引き上げる方向へシフトしたことが見て取れます。
ROBOPROの投資配分の変更は基本的に月一回行われており(臨時リバランスを除く)、次の投資配分の変更は2024年8月29日の予定です(臨時リバランスが行われ、日程が前倒しされる可能性があります)。
2024年7月の運用実績は近く公開予定のパフォーマンスレポートでお伝えいたします。
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