今回の投資配分変更のポイント
2024年8月の世界の株式市場を振り返ると、上旬は前月来の急激な円高・ドル安に加えて、加熱していた米国AI関連投資への期待の剥落や、景気後退を予見させる米国経済指標の発表が更なる円高・ドル安と主要国株価の急落を招きました。しかし、中旬から下旬にかけ、米国景気後退懸念の緩和を受けて多くの国では急落前の水準程度まで回復しました。一方、8月5日には1日あたりの下落幅が過去最大となった日本は株価回復の途上にあり、経済成長の鈍化が深刻な中国は下旬に再び下落基調となりました。
為替は、前月末の日銀によるサプライズ利上げと年内追加利上げの示唆で急激な円高・ドル安となり、米国景気後退懸念の高まりからその傾向を強めました。マーケットへの過度な不安の解消とともに一時的に円安・ドル高となる場面もあったものの、9月に見込まれる米国利下げを前に日米金利差が縮小し、下旬には再度円高・ドル安基調となりました。
このような投資環境下において実施されたROBOPROの2024年9月(8月29日変更実施)の投資配分を解説します。
不動産から米国株式に大きくシフト
今回の投資配分の変更では、不動産とハイイールド債券の比率が減少した一方で米国株式と金と米国債券の比率が引き上げられました。結果的に、米国株式、金、米国債券、不動産、ハイイールド債券の比率順に5資産を保有するポートフォリオとなりました。
※上記投資配分について、2024年4月は4月1日、2024年5月は4月30日、2024年6月は5月29日、2024年7月は6月28日、2024年8月は7月29日、2024年9月は8月29日のそれぞれの変更時点の比率を示しています。
※円グラフおよび帯グラフの各数値は小数第2位以下を切り捨てて表示しているため、表示上の数値を合算しても100%にならず誤差が生じる場合があります。
攻守のバランスは維持しつつ保有資産の内訳を変更
AIの予測の変化と最適ポートフォリオの更新
今回の投資配分の変更時におけるAI予測(8つの資産の将来のリターンに関する予測)では、全体としてはマーケットの見通しがやや後退する方向への変化が見られました。
前月と比較して、米国株式の見通しが改善、不動産もわずかに改善しました。一方で、ハイイールド債券を含むその他の資産の見通しは後退しました。
そしてその予測を踏まえてポートフォリオの最適化を行った結果、不動産を大きく米国株式に振り分けながらも比較的リスクが高い両資産で5割弱という比率を維持し、金や債券を5割強保有しており、前月からの攻守のバランスは維持する投資配分としました。
ポートフォリオの変更を踏まえてのFOLIOによる考察
今回の投資配分の変更においては、不動産と米国株式を全体の5割弱、米国債券およびハイイールド債券と金を合わせて5割強保有しており、攻めと守りのバランスは維持しました。また、主な保有資産の変更としては、前月に引き続き不動産から米国株式へのシフトを進めました。
8月は月初にドル/円 為替および主要国の株式市場が大きく変動しました。また米国短期金利は7月末から8月初にかけての米国の景気悪化懸念による利下げ観測の高まりで大きく低下しました。
一般的に金利が低下することは、株式市場や不動産市場にとって株価評価の観点や調達金利の低下という意味でプラスに働くケースが多いと考えられますが、8月は他の資産と比較して不動産が大きく上昇し、一方で米国株式は下落前の水準を僅かに超える程度にとどまっています。
ROBOPROはそのような値動きの違いを踏まえ、既に金利低下の恩恵を一定程度享受して割安感が薄まった不動産から、相対的に上昇が限定され、これから金利低下の影響を受けることが期待される米国株式に振り替えたものと考えられます。
また、金利が低下(すなわち債券価格が上昇)する中で、米国債券や金利のつかない金の魅力度は相対的に高まるものと考えられ、金利低下が追い風となる資産とされます。このことから、これらの資産の組み入れを概ね維持することで投資配分全体のバランスを取ったと考えられます。
これらの結果、ポートフォリオ全体として、マーケットの急変を受けた米国の金利見通しや各資産の価格変動を反映して、主に割高となった資産から割安な資産へと入れ替える形で攻守のバランスは維持しつつも攻めの資産区分のなかで組み入れ比率を変更した投資配分としました。
ROBOPROの投資配分の変更は基本的に月一回行われており(臨時リバランスを除く)、次の投資配分の変更は2024年9月30日の予定です(臨時リバランスが行われ、日程が前倒しされる可能性があります)。
2024年8月の運用実績は近く公開予定のパフォーマンスレポートでお伝えいたします。
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