今回の投資配分変更のポイント
2024年10月の世界の株式市場を振り返ると、米国では堅調な経済指標や大手ハイテク企業を中心とした好業績への期待等から堅調に推移しましたが、低調な経済指標の公表が相次いだ欧州やインド等、主要国の多くの株式市場は下落しました。
為替は、経済指標の底堅さから米国の景気悪化への懸念が後退したことや、11月に控える米大統領選で政策がインフレを予測させるトランプ氏が優勢となりつつあることから、米国長期金利が上昇、日米金利差が拡大して円安・ドル高が進みました。また、下旬には日本の総選挙で政権与党の議席数が過半数割れとなったこと等から、円安・ドル高の傾向が強まりました。
このような投資環境下において実施されたROBOPROの2024年11月(10月29日変更実施)の投資配分を解説します。
米国債券は除外、不動産が減少して、米国株式の組み入れが5割に
今回の投資配分の変更では、米国債券が除外されたほか、不動産の比率が減少した一方で、主に米国株式の比率が引き上げられ、全体の5割を占める形になりました。結果的に、米国株式、金、不動産の3資産を中心(上記3資産の合計が98.4%)としつつ、ハイイールド債券をわずかに保有するポートフォリオとなりました。
※上記投資配分について、2024年6月は5月29日、2024年7月は6月28日、2024年8月は7月29日、2024年9月は8月29日、2024年10月は9月30日、2024年11月は10月29日のそれぞれの変更時点の比率を示しています。
※円グラフおよび帯グラフの各数値は小数第2位以下を切り捨てて表示しているため、表示上の数値を合算しても100%にならず誤差が生じる場合があります。
金を3割保有しつつ、米国株式と不動産で7割弱とすることでより積極的な投資配分へシフト
AIの予測の変化と最適ポートフォリオの更新
今回の投資配分の変更時におけるAI予測(8つの資産の将来のリターンに関する予測)では、全体としてはマーケットの見通しがやや後退する方向への変化が見られました。
前月比での見通しの主な変化を見ると、金の見通しが改善した一方で、米国債券や不動産等の見通しは後退しました。
資産別のリターンに関する予測の水準をみると、見通しが改善した金だけでなく、前月比で見通しの水準が後退した米国株式、不動産、ハイイールド債券についても、引き続き相対的に優位な結果が期待できるとの見通しは維持しました。一方で米国債券については、見通しが後退した結果、相対的に劣後することを見込んでいます。
そしてその予測を踏まえてポートフォリオの最適化を行った結果、金を3割、米国株式と不動産を合計で7割弱保有し、全体としては前月と比べてより積極的な投資配分としました。
ポートフォリオの変更を踏まえてのFOLIOによる考察
今回の投資配分の変更においては、金の保有は3割を保ちつつ、特に米国株式の組み入れを5割とするなど、積極的な傾向をより強めました。
10月は、月初の雇用統計を皮切りに堅調な経済指標の公表が相次いだことから、米国景気に対する楽観論が強まり、「ソフトランディング(景気の軟着陸)」もしくは景気後退が発生しない「ノーランディング」がより強く意識される展開となりました。一方で、欧州をはじめとする先進国やインド等の新興国では景気後退への懸念が高まってきており、そのような地域間の環境の違いをマーケットデータを通じて捉え、株式資産の中でも米国株式に集中する積極的な投資配分としたものと考えられます。
また、米国の景気悪化への不安が後退したことや過度に高まっていたハイペースでの利下げへの期待が落ち着いたこと等に伴い、米長期金利は反転しました。利下げ観測は一時的に後退したものの、今後もFRB(連邦準備制度理事会)は景気に配慮しながら利下げを継続する見込みです。一般的に金利低下時に上昇しやすいと言われている金と不動産は、足もとで上がってきた米金利が低下に転じた場合には上昇が期待されます。
さらに中東情勢や11月5日に控える米大統領選などにより市場の不確実性が高まる懸念がありますが、その備えとしても金の保有は効果的と考えられます。
ROBOPROの投資配分の変更は基本的に月一回行われており(臨時リバランスを除く)、次の投資配分の変更は2024年11月29日の予定です(臨時リバランスが行われ、日程が前倒しされる可能性があります)。
2024年10月の運用実績は近く公開予定のパフォーマンスレポートでお伝えいたします。
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