10月のポイント
・米中不和への警戒が薄れ、日本で新政権への期待などが台頭し世界同時株高へ
・8資産に分散しつつ、強気を維持した米国株式と見通しが改善した新興国株式で7割超に
・株式資産の上昇に加えて、「高市トレード」による円安も寄与
目次
ROBOPRO(ロボプロ)は、AIによる予測技術を利用して期待リターンを算出し、積極的な利益の追求や損失の軽減を目指す資産運用サービスで、2025年10月31日でリリースから約5年9か月が経過しました。
2025年10月における1か月間の実績は+5.83%となりました。以下で、同期間におけるROBOPROの運用状況をご説明します。
2025年10月のマーケット環境
米中不和への警戒が薄れ、日本で新政権への期待などが台頭し世界同時株高へ
2025年10月の世界の株式市場を振り返ると、不正融資を背景とした米銀の信用懸念の後退や、レアアースの供給を巡る米中不和への警戒が薄れたことで米中両国の株式市場が堅調に推移しました。日本でも高市政権誕生に伴い経済重視の積極財政への期待などから日経平均が史上初の5万円台を付けるなど、世界同時株高の様相を呈しました。
為替市場では、「高市トレード」と呼称される円売り・ドル買いの動きが活発となるなど、円の先安観が台頭したことに加えて、日銀の利上げ見送りや12月以降の米国の追加利下げ観測の後退などを背景に円安・ドル高が進行しました。
このようなマーケット環境における、直近1か月のROBOPROと各資産の騰落率(円建て/ドル建て)は以下の通りです。(※1、2、3)

※1 ROBOPROの1か月のパフォーマンスは、円建ておよびドル建ての直近1か月前の資産の評価額と2025年10月31日における評価額をもとに計算しています。表示している割合は年率ではありません。将来の運用成果等を示唆又は保証するものではありません。算出方法の詳細は※4をご確認ください。
※2 騰落率グラフは表示期間における各資産の価格を円建ておよびドル建てで比較したものおよびROBOPROのリターン(円建て/ドル建て)を示したものです。各資産の計算は、「(計算期間終了日時点の資産額/計算期間開始日時点の資産額)-1」で行っています。将来の傾向や運用成果等を示唆又は保証するものではありません。
※3 金の騰落率については投資対象としている2つの米国ETFの騰落率を投資配分変更時の最適比率に応じて加重平均して算出しています。
結果として、前月比で約4%の円安・ドル高となったことなども影響して円建てで8資産すべてが上昇しました。中でも金や米国株式が大きく上昇し、次いで先進国株式、新興国債券の順となりました。一方、不動産の上昇は相対的に小幅にとどまりました。
2025年10月のROBOPROの投資配分
8資産に分散しつつ、強気を維持した米国株式と見通しが改善した新興国株式で7割超に
次に、同期間のROBOPROの投資配分を確認します。
円グラフは9月30日時点での投資配分です(※9月30日の注文締切時刻までに注文したお客様に適用されます)。
9月30日時点の投資配分では、米国株式に対しては強気を継続し高い配分比率を維持し、新興国株式については前月に比べて配分を大きく増やしました。ハイイールド債券や不動産、そして価格上昇で過熱感が高まっていた金は、配分比率を減少させました。全体として、強気を維持した米国株式と、前月比で大きく見通しが改善した新興国株式で7割超を占める積極的な投資配分となりました。その一方で、残りの3割を幅広い資産に分散することで、バランスを意識した配分としました。

※円グラフの各数値は小数第2位以下を切り捨てて表示しているため、表示上の数値を合算しても100%にならず誤差が生じる場合があり、また、文中で比率の合算を表記している場合の合算値と一致しないことがあります。表示の投資配分はリバランス実施時に目標とする比率であり、実際の運用では市場変動等の影響により表示の比率と乖離が発生することがあります。
このような投資配分とした背景に関する当社の考察は<ROBOPRO_2025年10月の投資配分(9月30日変更実施)>を、現在の投資配分は<ROBOPRO_2025年11月の投資配分(10月29日変更実施)>をご参照ください。
2025年10月のパフォーマンス実績
株式資産の上昇に加えて、「高市トレード」による円安も寄与
2025年10月のROBOPROの実績は+5.83%となりました。
10月は、レアアース取引規制を火種とする米中間の摩擦や、新たな不正融資の発覚や融資先の経営破綻よる米地銀の信用不安が一時的に生じるなど波乱要因もありましたが、その後の地銀の好決算やレアアース規制の先送りとその見返りとしての対中関税発動見送りの方針が示されたことなどによって懸念が後退し、米中両国の株式市場は回復しました。国内でも高市新政権への期待から株式市場は堅調に推移するなど世界的な株高となる中、金は高値警戒感から持ち高調整の売りが優勢となり月末にかけてやや失速気味となりました。
結果として、10月の運用では高い配分比率を維持した米国株式や配分を増やした新興国株式などを通して株高局面を捉えることができました。
リリース来のパフォーマンス
以下の折れ線グラフは「ROBOPRO(※4)(深緑線)」と「一般的なロボアドバイザー(※5)(緑線)」の比較グラフで、開始点はROBOPROがサービスをリリースした2020年1月15日です。
ROBOPROの運用実績は下のグラフのように推移しており、リリースされた2020年1月15日から2025年10月31日までの期間で見ると、10月31日時点で+155.32%(※4)となりました。

また以下は、ROBOPROのリリース来および直近1か月、3か月、6か月、1年、3年、5年のパフォーマンス比較です。(※6)
※4 ROBOPRO運用実績について
サービス開始当初(2020年1月15日)から表示日まで、または表示している期間において、ROBOPROサービスに投資していた場合のパフォーマンスです。運用手数料を年率1.1%(税込)徴収し、リバランスは最適ポートフォリオとの乖離がないように実施したと仮定して計算しています。分配金は投資の拠出金銭に自動的に組み入れ、リバランスにより再投資したと仮定して計算しています。分配金やリバランス時の譲渡益に係る税金は考慮していません。小数第3位以下を切り捨てて表示しています。将来の運用成果等を示唆又は保証するものではありません。
※5 「一般的なロボアドバイザー」の運用シミュレーションについて
「一般的なロボアドバイザー」とは、利用者がリスク許容度に応じて設けられている複数の運用コースの中から一つのコースを選択し、一般的な運用アルゴリズム(ノーベル賞を受賞した理論に基づき、金融機関において広く使われている平均分散法を採用。平均分散法における期待リターンはCAPMを用いて算出。)を用いて自動で運用を行う投資一任サービスのことを指します。本運用シミュレーションは、一般的な運用アルゴリズムでROBOPROと同じETFを運用したと仮定したシミュレーション結果です。リスク許容度はやや高めとし、5%~40%の保有比率制限を設けて最適ポートフォリオを算出しています。運用手数料を年率1.1%(税込)徴収し、リバランスは最適ポートフォリオとの乖離がないように実施したと仮定し、分配金は投資の拠出金銭に自動的に組み入れリバランスにより再投資したと仮定して計算しています。分配金やリバランス時の譲渡益に係る税金は考慮していません。小数第3位以下を切り捨てて表示しています。将来の運用成果等を示唆又は保証するものではありません。
※6 1か月、3か月、6か月、1年、3年、5年のパフォーマンスは、それぞれ直近Nか月前およびN年前の資産の評価額と2025年10月31日における評価額を元に計算しています。ROBOPROリリース来のパフォーマンスは、2020年1月15日の資産の評価額と2025年10月31日における評価額をもとに計算しています。表示している割合は年率ではありません。将来の運用成果等を示唆又は保証するものではありません。
開催予定のROBOPROのセミナー
ROBOPROではAIによる予測技術を利用して最新のポートフォリオを提供しています。また、マーケット状況を踏まえたROBOPROの運用状況や投資配分の解説などについて詳しく知りたい方は是非セミナーにもご参加ください。
2025年10月のマーケット振り返り
米国株式市場の指標であるS&P500は、米政府機関閉鎖の長期化や中国のレアアース規制への米政権による対抗措置の示唆に加えて、10月に入り新たに発覚した米地銀の不正融資問題による米地銀の信用不安の再燃などから、急落する場面がありました。
中旬以降は、市場予想を上回る地銀の好決算やCPIの上昇に伴う追加利下げ観測の強まりなどが一連の不安を払拭するかたちで回復し、下旬にはレアアース規制の1年延期が伝わったことで連日の高値更新となりました。
しかし、FRB(米連邦準備制度理事会)が2会合連続の利下げを決定した後は、パウエルFRB議長の追加利下げに慎重と受け止められる発言等によって持ち高調整の売りが出て下落し、最終的に前月比+2.26%となりました。
日本株式市場の指標であるTOPIXは、高市自民党総裁の首班指名を巡る公明党の連立離脱や米地銀の信用不安などを受けて中旬にかけて一時下落しました。その後、高市政権の発足が確実になると、内外の市場参加者から日本市場に注目が集まり株価の先高感等を追い風に最高値を更新する展開となり、最終的に+6.19%となりました。
欧州株式市場の指標であるストックス欧州600指数は上旬、米利下げ期待等を背景に上昇した後、米中対立への警戒感から下落しました。その後、フランスの政情安定化や英中銀の利下げ観測など域内の支援材料を好感して上昇に転じ、米中対立の懸念が後退したことや、ユーロ圏の実体経済の改善を示唆する指標の発表等も後押しして、最終的に前月比+2.45%となりました。
中国株式市場の指標である上海総合指数は上旬、大型連休による休場により動きがありませんでした。休場が明けると、当局による経済成長策への期待感から上昇しましたが、中国のレアアース輸出規制に対して米政権が報復関税を課す姿勢を示すと反落しました。その後、米中が緊張緩和に向かうと上昇して、10年3か月ぶりに4,000ptの大台を回復する場面もあり、最終的に前月比+1.85%となりました。
インド株式市場の指標であるインドSENSEXは、9月下旬に実施された物品・サービス税(GST)減税による消費市場の特需等を好感して堅調に推移しました。一時的に米中対立の影響を受けたものの、その後の米中関係の改善や米金利低下といった外部環境の好転や堅調な国内経済活動を背景に上昇して、最終的に前月比+4.57%となりました。
ドル/円為替相場は、市場から積極財政派と目される高市新首相の誕生が確実視されるにつれて「高市トレード」と称される円売り・ドル買いの動きが活発となりました。米地銀の信用不安により円高・ドル安に転じる場面もありましたが、地銀の好決算や12月以降の追加米利下げ観測の後退により再び円の先安観が高まって円安・ドル高が進む展開となり、最終的に前月比4.11%の円安・ドル高となりました。
米国10年債利回りは、パウエルFRB議長による量的引き締め(QT)終了の示唆や追加米利下げ期待に加え、米中対立懸念から米国債に資金が流入したことで一時3.95%まで低下しました。その後、パウエルFRB議長が追加利下げに慎重な姿勢を示したこと等を受けて上昇して、最終的に4.07%で10月を終えました。
各指数等のデータはBloombergが提供する値を用いています。表示されている値(米国10年債利回りを除く)は、小数第3位以下を切り捨てています。

